『神崎さんの言う通りだ。長生きして孫娘のウエディングドレスも見てやらねぇとな』
『みーちゃんが色々と話を聞いてくれたおかげで、入院中も前向きでいられたよ。ありがとうな』

これまでかかわってきた患者の言葉を思い出し、胸が熱くなる。

看護師という仕事が好きで、誇りを持っているのだ。決して投げ出したくはないし、やり甲斐のあるこの仕事が天職だと感じている。

「ううん、辞めたりしない。ありがとう、律くん。私、もっと頑張る」

胸の前でグッとこぶしを握りしめる未依を、律は眩しそうに目を細めて見つめている。

「そういう前向きな未依が、俺はすごく好きだ」
「ふふ、ありがとう」

律の肩に頭をこてんと預けると、彼の腕が未依の肩をぎゅっと抱き寄せてくれる。

(こういうクリスマスイブの過ごし方もいいかもしれない)

互いに忙しい仕事だからこそ、ただ寄り添い、静かに過ごす時間が大切で愛おしく感じる。

ふと律を見上げると、彼と視線が交わった。その瞳には、未依だけが映っている。

ふたりは、そっと触れるだけの甘いキスを交わした。