離婚するはずが、凄腕脳外科医の執着愛に囚われました


律の帰国、突然の同居、夫婦として再出発し始めた矢先にケイトが来日して大騒ぎするなど、濃すぎる出来事が目白押し。さらにクリスマスイブにストーカーと対峙するというアクシデントにまで見舞われれば、ため息のひとつも吐きたくなる。

「ダメダメ、幸せが逃げちゃう」

あまり食欲は湧かなかったが、食べなければ心配させてしまう。元々クリスマスディナーを作るつもりだったため、食材は豊富にある。

律と一緒に食べられるように、鶏肉と野菜を入れたたまご雑炊を用意することにした。鶏もも肉と野菜を炒め、醤油や鶏ガラスープの元などで味付けをする。ご飯と溶き卵を加えれば簡単に完成した。

「レシピを見ながらだけど、ちょっとずつ料理スキルは上がってる気がするんだよね」

未依はあえて声に出して自画自賛して微笑む。イブの夕食にしては質素だけれど、今日ばかりは仕方がないと割り切った。

律が帰ってきたのは、たまご雑炊が完成した数分後。ナイスタイミングだと出迎えた未依を、律は玄関で思い切り抱きしめる。

「律くん?」
「ひとりにしてごめん。怖かったよな。体調に異変はないか? 怪我がなくても、精神的に参って身体に出ることもある」