「雪降ってほしかったんですか?」
「ホワイトクリスマスって、なんか奇跡が起きそうじゃない? 今夜の合コンで、運命の出会いがあったらいいのになって思って」

未依はなるほど、と大きく頷いた。彼女はサバサバした頼りがいのある性格で同性から見ても美人だが、なかなか男性との出会いに恵まれないらしい。先日ふたりで食事をした際に、『クリスマスプレゼントに彼氏がほしい!』と切実な願いを口にしていたのは記憶に新しい。

「ホワイトクリスマスじゃなくても、素敵な男性がいるといいですね」
「同期の子が幹事で、全員医療従事者なんだって。だから話は合うとは思うんだけど、どうかなぁ」
「うまくいったら教えて下さいね」
「もちろん。また飲みに行こう」

あかりとふたりで食事へ行ったのは三日前。ようやくこれまでの顛末を話すことができた。

律とは幼なじみだが結婚自体に恋愛感情はなく同情だと思っていたことや、離婚して転職する予定だったために周囲には黙っていたという経緯に、あかりはとても驚いていた。

けれど誤解が解けて今では夫婦として過ごしていると告げると、『そりゃ律先生の様子を見てればわかるわよ』とビール片手にニヤリと笑う。あかりの話では、以前の更衣室の嫌がらせを知った彼女と師長が律に伝えてくれたらしい。