「みーちゃんが色々と話を聞いてくれたおかげで、入院中も前向きでいられたよ。ありがとうな」
「よかったです。笹井さんが自宅に帰ってきてくれるのが、ご家族にとってのクリスマスプレゼントになりますね」
「お、いいこと言うな。みーちゃん」
「だから須藤ですっ」
未依と笹井のお決まりのやり取りに、周りの患者にも笑顔が広がる。
「では、なにかありましたらナースコールで教えてくださいね」
他の受け持ちの病室をラウンドして患者のバイタルチェックを済ませ、その後は清拭や洗髪などの手伝いをする。昼食の配膳をして自身も休憩を取り、午後もカンファレンスやカルテの入力などをしているとあっという間に一日が過ぎていった。
未依が新しい入院患者の受け入れを終えてスタッフステーションに戻ると、あかりが看護記録を記入していた。夜勤のスタッフに申し送りを終え、退勤して更衣室へと向かう途中であかりが残念そうに呟いた。
「今年はホワイトクリスマスにはならなさそうね」
今日はクリスマスイブ。病棟にも大きなクリスマスツリーや真っ赤なリボンのリースが飾られ、スタッフステーションのカウンターにも小さなサンタとトナカイの人形がちょこんと置かれている。



