「……きっと明日以降、律くんファンが増えてるよ」
「どういう意味だ?」
「病棟でケイトさんと対峙してた時、私に向かって安心させるように笑ってくれたでしょ。〝塩対応の須藤先生〟の笑顔を見ちゃったら、みんな律くんを好きになっちゃうよ」
「言ったろ。未依以外にどう思われようと興味はない」
キスの合間に囁くと、未依が嬉しそうに笑うのがわかった。律の舌を押し返してキスを中断すると、「家に帰ろう?」と未依が首に抱きついてくる。
「律くんには私だけだって、もっと教えて?」
目眩がしそうなほど凶悪な可愛らしさに、律の理性は崩壊寸前だった。
(未依のどこが『子供っぽい』んだ)
律は今すぐにでも押し倒したい衝動を抑えながら未依の手を引き、脇目も振らずに自宅を目指した。



