「律くんを信じてなかったわけじゃないけど、実はちょっと不安だった。アメリカから追いかけてくるくらいだから、特別仲がよかったのかなって考えたりして」
「デイビス先生との食事の席に割り込んで来たことは何度もあったけど、特別な関係でも仲がよかったわけでもない。病院や家にまで押しかけられてて迷惑してたんだ。どれだけ断ってもあの調子で自分に都合のいいように解釈して一歩も引かないから手を焼いていた」

先程は通訳しきれなかったオリバーの手術の件やSNSでの騒動を話すと、未依は口元を引きつらせながら「それは……本当にお疲れ様」と苦笑した。

「後にも先にも、俺が愛してるのは未依だけだ」

腫れも赤みも引いた彼女の頬にそっと触れる。視線を合わせると、未依はふわりと恥ずかしげに微笑んで瞼を伏せた。

引き寄せられるように唇を寄せる。

初めは触れ合うだけのキスのつもりだったのに、その甘さに夢中になり、次第に激しさを増していく。

「ん……待って、ここ、病院」

言葉とは裏腹に、未依は口づけに応えて舌を絡ませてくる。誘うような蕩けた瞳に、グッと喉が鳴った。