そうして、ケイトはオリバーとマネージャーに連れられて病院を去った。
最後まで律や未依への謝罪は聞けなかったが、オリバーから金輪際かかわらないと言質を取れたのだからよしとする。
「……疲れた」
久しぶりに感情的になって苛立ったせいか、かなり精神力を消耗させられた気がする。律は背もたれに身体を預けて天を仰ぎ、大きく息を吐いた。
「やっと嵐が去った」
しばらくその体勢でいると、隣で未依がクスッと笑った。
「お疲れ様」
「巻き込んでごめん。まさか殴りかかってくるなんて想定外だった」
「びっくりしたけど、もう痛くないから大丈夫」
「それから、わかってると思うけどケイトとはなにもないから」
病棟内で元カノだの修羅場だのといった噂が広がったのを未依が聞いたらしいけれど、そんな事実は一切ない。誤解されては困るので改めて否定すると、彼女はホッとした表情を浮かべた。



