離婚するはずが、凄腕脳外科医の執着愛に囚われました


未依と同じ7A病棟の看護師たちからの報告がなければ、女子更衣室内でのことなど律には知り得なかったため、彼女たちには深く感謝した。

律はすぐに院長に相談し、各診療科の科長や看護部長に話を通して、目に余るようなら適正に処分するという通告を出した。今のところ、目立った嫌がらせはなくなったと聞く。

律のそばにいることで嫌な思いをさせたくない。寂しい思いも、悲しい思いもしてほしくない。これからは未依のそばにいて、全力で彼女を守るのだ。

そう誓ったばかりだというのに――。

律はイライラしながらカンファレンスルームの扉を開けた。そこには不貞腐れた表情のケイトが警備員に囲まれたまま座っている。彼女は入室した律を見るなり立ち上がった。

『ねぇ律、ふたりだけで話がしたいの。この人たちに部屋から出ていくように言ってよ』

微塵も反省の色を見せないケイトに、取り押さえている警備員もげんなりした顔をしている。彼女を無視してこれから引き取りに来るであろう相手に連絡をとっていると、少し遅れて帰り支度を済ませた未依が気まずげに部屋に入ってきた。

律は懲りずに睨むような視線を向けてくるケイトから一番離れた席に未依を座らせた。これ以上、未依に危害を加えさせたくないし、視界にすら入れたくない。