離婚するはずが、凄腕脳外科医の執着愛に囚われました


律は未依と過ごす時間を、なによりも大切にしている。

帰国早々離婚危機に見舞われたものの、ようやく未依を本当の意味で手に入れたのだ。

これからは今まで離れていた期間を埋められるよう、可愛い妻を誰よりも大切にしたいし、ひたすらに甘やかしたい。

脳外科医はプライベートが疎かになりがちだと言われているが、数年前から院長である律の父が職員の働き方改革を行っている。

今はアメリカから持ち帰った技術や承認されたばかりの器具の研修などで慌ただしくしているけれど、それらが落ち着けばきちんとした休みが確保できる。

これで未依と夫婦の時間が持てるかと思いきや、今度は別の懸念が浮上してきた。

律と未依の結婚が院内で周知され、彼女に想いを寄せていそうな男たちを牽制できたまではよかったが、頭の軽い女たちに未依が嫌がらせを受けているらしい。

彼女はなにも言わないが、学生時代にも律や櫂と幼なじみというだけで似たような目に遭っていた。

『神崎さんはなにも言わないけど、傷ついてないわけじゃないと思うんです』
『私たちも注意して見ていますが、律先生も彼女をフォローしてあげてくださいね』