そしてその言葉通り、彼は未依のそばにいてくれた。
まず律は、須藤の両親に未依を須藤家に住まわせるよう話を通したのだ。
これには富美をはじめ、夫の武志や櫂も一様に賛成してくれたため、受験生だった未依は両親と住んでいた実家のマンションからほど近い須藤家へと身を寄せることとなった。
当時、彼は医学部の六年生で、臨床実習、医師国家試験や卒業試験の準備、マッチングと呼ばれる研修先の病院を選ぶ選考活動など、多忙を極めていたはずだ。
にもかかわらず、律は未依を悲しみの底から救い出すように、できる限りそばに寄り添ってくれた。
そうして未依は徐々に悲しみを乗り越え、希望していた大学にも合格した。
未依は看護学部へと進学し、夢を叶えるために四年間必死に勉強した。それが、手を差し伸べてくれた須藤家の人たちへの恩返しにもなると思ったから。
そうして、卒業した翌日。
『約束通り、俺と家族になろう。未依、結婚しよう』



