初めての本気の告白に、前日から眠れないほど緊張していたけれど、酷く拒絶されることはないと思っていた。
きっと、嫌みを言ってくる女子たちから庇ってもらっていた驕りもあったのかもしれない。
けれど、現実は残酷だった。
『……子供相手にそんな気は起きない。それに俺、彼女いるから』
未依の楽観的な想像を裏切り、スッパリと、これ以上ないほどバッサリと恋愛対象ではないと断言された。
その上、律には恋人がいるという。未依は頭が真っ白になった。
受け入れてもらえない可能性を考えなかったわけではないのに、恋人がいるなんて想像もしていなかった。そのくらい、未依はまだ子供だったのだ。
恥ずかしくて、苦しくて、悲しくて、すぐには立ち直れないほどに落ち込んだ。
中学生に告白された大学生の反応として至極真っ当であると今ではわかるけれど、当時はショックでたまらず、それから約一年半もの間、未依は律を避け続けた。
無邪気に『律くん、大好き!』なんて言えていた幼い頃には戻れない。年に数回、家族で一緒に食事する機会は細々と続いていたけれど、それにも未依は参加しなかった。母も未依の気持ちを察していたのだろう、無理に誘ってくることはなかった。



