離婚するはずが、凄腕脳外科医の執着愛に囚われました


兄弟の周囲の女子からの嫌みは続いていたけれど、それも年齢が離れていて学校が別々のおかげか、そこまで酷いものではなかったのが幸いだった。

ぶっきらぼうだけど優しい律は、未依の初恋の相手。年上の男の子への憧れが、いつしかほのかな恋心へと育つのは必然だったのだろう。

『律くん、大好き! また遊ぼうね』
『はいはい』
『あ、律くん。ため息つくと幸せが逃げちゃうんだよ』

会うたびにそう言って周囲をチョロチョロしていた未依を、律は適当にあしらっていたけれど、それでも一緒に過ごす時間は楽しかった。

須藤兄弟が成長するにつれて未依との交流も少しずつ減ってしまったけれど、たまに会う律へずっと想いを寄せていた。

そして、中学の卒業式の日。ついに未依は長年あたため続けた想いを告白する。

『あのね、私、律くんが好きなの。律くんは、私を恋愛対象として見てくれる?』

母に似て、活発で猪突猛進な性格は昔から。義務教育を終え、大人の一歩を踏み出したと勘違いしていたのだ。