離婚するはずが、凄腕脳外科医の執着愛に囚われました


じろりと睨みつける律の最後の呟きが聞き取れなかったらしい。未依が小さく首をかしげるのと、律の唇が彼女の額を掠めたのはほぼ同時だった。

未依の顔が「ぼんっ」と音がしそうなほど赤くなる。

「りっ、律く……っ」
「無理強いするつもりはない。だけど、好きな女と同じベッドで寝て、ずっとなにもしないでいられる自信もないんだ。わかったら、大人しくここで寝てくれ」

額へのキスで、律の言わんとすることに気がついたらしい。ブリキのおもちゃのようにぎこちない動きで額を抑えながらコクコクと頷いた未依を見て、つい頬が緩む。

(そんな様子も可愛いと思ってしまうんだから、かなり重症だな)

律は未依の頭に手を伸ばすと、乾かしてやったばかりの髪をくしゃりと撫でた。

「おやすみ。早く寝ろよ」
「お、おやすみなさい」

今はこれで我慢しようと、律は理性を総動員して寝室を出たのだった。