居心地が悪いため、できれば相席はお断りしたい。
いや、正直断固断りたい。
「あの……あっちに空いてる席がありますよ」
親切を装って伝えてみたが、律は未依の言葉を無視して着席し、食事を始める。マイペース過ぎる律に、開いた口が塞がらない。
そんな未依と律の様子を見て、櫂は苦笑しながら席についた。
(律くん、なにを考えてるの?)
未依は内心で頭を抱えた。
須藤兄弟と未依は幼なじみ。そして兄の律は、未依の夫でもある。
入籍したのは、未依が大学を卒業してすぐの頃。かれこれ四年半以上が経つ。
けれど、それをほとんどの人は知らない。



