2. お見合い
王宮入りした私と父は、そのまま謁見の間に案内された。
「こちらでしばらくお待ちください」
案内係の人がそう言って席を外し、そう間も空かない内に、陛下と第一王子のお越しが告げられる。
「よく参った。ヘルツェビナ公爵。そして、横に控えている娘がそなたの娘だな?」
「ルーデンベングを照らす太陽である国王陛下、ならびに小さき太陽である第一王子に置かれましては、ますますのご健勝のこととお慶び申し上げます。
横におりますのが、我が娘ルーシーでございます」
王に声を掛けられて父が挨拶をし、私に振られた為、慌てて挨拶の言葉を口にする。
「ルーデンベングの太陽である国王陛下、ならびに小さき太陽である第一王子殿下に置かれましては、お初にお目にかかれました事、恐悦至極に存じます。ルーシー・ヘルツェビナと申します」
この時の為に死ぬほど練習させられたカーテシーを披露しながら、挨拶をする。
「ほぅ。7歳と聞いていたが、しっかりとした挨拶が出来ておる。公爵の教育がよく行き届いておるのだろう。
お前もそう思うだろう? ライアンよ」
陛下の言葉を受け、ライアン第一王子がキッと挑戦的に私を見た。
「ライアン・ルーデンベングだ」
その一言だけ言って、そっぽ向いてしまう。
その様子に苦笑しながら陛下が私を見た。
「すまないな。婚約者候補との顔合わせで照れているのであろう。
ライアン、ルーシー嬢をバラの庭園に案内してやりなさい。今、色んな種類が咲いておるので、とても見応えがあるぞ」
「……はい」
陛下に言われて、ライアン第一王子は渋々私に声を掛ける。
「行くぞ」
そう言うと、振り向きもせずに早々に一人、謁見の間を、出ていこうするので、慌てて後を着いて行った。
