「ケイン様、本当にいつもありがとう。おかげで母が日毎に元気になっているわ。最近は息苦しさも減ってきているみたい」
ケイン様の訪問の日は、母への訪問の後に、庭の四阿でお茶会をすることが習慣となっていた。
今日も私たちは四阿でお茶会をしており、その時に日頃のお礼をケイン様に伝えた。
「とんでもない。きちんと薬を飲んで、治そうとする意思がルーシーの母君にあったからこそだよ。もちろん、それにはルーシーや父君や、周りの方のご協力のおかげだと思うしね」
ケイン様は大人で謙虚で、しかも凄く優しい。
前の人生では、ライアン様しか見ていなかったから、こんな穏やかな男性がいるなんて気づきもしなかったわ。
改めてケイン様を尊敬のまなざしで見ていると、彼は照れくさそうに笑った。
「あ、そうだ。明日は父と共に王宮の夜会に呼ばれているから、明日は来れそうにないんだ。でも、ルーシーがちゃんと公爵夫人のお世話をしてくれているから、安心して任せられるね」
そう言って、私の頭に、ポンポンと軽く手を置く。
「もぅ! 子供扱いしないで!」
これでも中身は十八歳なのよ。
十三歳の少年に頭ポンポンって、恥ずかしいじゃないの!
私が不満を口にすると、ケイン様は可笑しそうに笑っていた。
もともとケイン様は、医学博士であるロットマイン伯爵様と共に、隣国からこの国に招待されてやってきていたのだ。
父君である伯爵は、来国してすぐに案内役の祖父の依頼で母を診てくれたが、本来はとてもお忙しい。
実際あの日以降、伯爵様は予定が詰まっており、ケイン様がおひとりで家に様子を見にきてくれていた。
案内役の祖父も、伯爵様に付き添って忙しくしており、なかなか母に会いに来れていない。
隣国は医学の発展がこの国よりも何倍も進んでいる。
今回の来訪は、少しでもこの国の利になる知識を学び取りたいという思いから、国の招待により実現したものだ。
母国には自分の患者さんも多く抱えていらっしゃるそうで、短期間の訪問だと聞いた。
ロットマイン伯爵は、その限られた時間の中で母の診察を引き受けてくださったのだ。
当然、伯爵様に付いて来ていたケイン様も、こちらに居られる時間は限られている
「分かったわ。楽しんできてね」
7歳の自分では、ケイン様の参加する夜会には行けない。
もうすぐお別れである事を感じ取ってしまい、寂しい気持ちでケイン様を見送った。
ケイン様の訪問の日は、母への訪問の後に、庭の四阿でお茶会をすることが習慣となっていた。
今日も私たちは四阿でお茶会をしており、その時に日頃のお礼をケイン様に伝えた。
「とんでもない。きちんと薬を飲んで、治そうとする意思がルーシーの母君にあったからこそだよ。もちろん、それにはルーシーや父君や、周りの方のご協力のおかげだと思うしね」
ケイン様は大人で謙虚で、しかも凄く優しい。
前の人生では、ライアン様しか見ていなかったから、こんな穏やかな男性がいるなんて気づきもしなかったわ。
改めてケイン様を尊敬のまなざしで見ていると、彼は照れくさそうに笑った。
「あ、そうだ。明日は父と共に王宮の夜会に呼ばれているから、明日は来れそうにないんだ。でも、ルーシーがちゃんと公爵夫人のお世話をしてくれているから、安心して任せられるね」
そう言って、私の頭に、ポンポンと軽く手を置く。
「もぅ! 子供扱いしないで!」
これでも中身は十八歳なのよ。
十三歳の少年に頭ポンポンって、恥ずかしいじゃないの!
私が不満を口にすると、ケイン様は可笑しそうに笑っていた。
もともとケイン様は、医学博士であるロットマイン伯爵様と共に、隣国からこの国に招待されてやってきていたのだ。
父君である伯爵は、来国してすぐに案内役の祖父の依頼で母を診てくれたが、本来はとてもお忙しい。
実際あの日以降、伯爵様は予定が詰まっており、ケイン様がおひとりで家に様子を見にきてくれていた。
案内役の祖父も、伯爵様に付き添って忙しくしており、なかなか母に会いに来れていない。
隣国は医学の発展がこの国よりも何倍も進んでいる。
今回の来訪は、少しでもこの国の利になる知識を学び取りたいという思いから、国の招待により実現したものだ。
母国には自分の患者さんも多く抱えていらっしゃるそうで、短期間の訪問だと聞いた。
ロットマイン伯爵は、その限られた時間の中で母の診察を引き受けてくださったのだ。
当然、伯爵様に付いて来ていたケイン様も、こちらに居られる時間は限られている
「分かったわ。楽しんできてね」
7歳の自分では、ケイン様の参加する夜会には行けない。
もうすぐお別れである事を感じ取ってしまい、寂しい気持ちでケイン様を見送った。
