前世の因縁は断ち切ります~二度目の人生は幸せに~

4. 突然の来訪



「大変でございます! 第一王子殿下がお越しです!」
 
 私が自室で、母に対して他にできる事はないか考えていた時、ノックもそこそこに転げるようにジェシカが入ってきて、そう告げた。
 
「え? なんで?」
 
 頭にはてなマークを浮かべながら、そう返答する。
 
 私はライアン様の婚約者になっていない。
 だったら、私への訪問ではなく、父に何か用事があったのではないの?
 
 そう答えが出た私は、ジェシカを落ち着かせるように、穏やかに返答した。
 
「多分、父に何かご用事があったのではないかしら。でも、挨拶には出向かないと行けないわね。ジェシカ、準備をお願い」
 
 そうして私は着替えて、エントランスホールに向かった。
 エントランスホールにはすでに父がライアン様を出迎えており、私も急いで父の元に行く。
 
「ようこそおいでくださいました。第一王子殿下をお迎え出来、大変光栄に存じます」
 
 カーテシーにて挨拶をすると、ライアン様はチラっと私を見て、鼻を鳴らす。
 
「お前がなかなか城に来ないから、様子を見に来たのだ。お前は私の婚約者である事をちゃんと理解しているのか? この私にここまで来させるとは、不敬に値するぞ。今後はこのような事はないように気をつけろ」
 
 …………。 
 えっと?
 婚約者とは? 
 今回の人生では、まだ婚約者にはなってませんよね?