「過去…」
「うん、香穂理ちゃんだって彰良くんを忘れはしないだろ?」
「…まぁ」
「好きだった人を完全に忘れる事なんて出来ないっていうのはみんなある事で…学生時代に結構飲んで寝ちゃって由奈が水くれたりしていたから無意識に出たかも知れない、昨日は結構飲んだから記憶もあまりないんだ」
「今、由奈さんは?」
「結婚して子供が産まれたばかりだよ、OB会でたまに上京してきて参加したりしたけど前会ったのは3年前かな、特にヨリを戻したいとかは思わなかった、お互い相手がいたしな」
廉はスマホを出してグループのLINEを見せてくれた。
「30人近くいるから(笑)昨日もOB会だったけどさすがに来てなかったよ」
LINEのアイコンをタップして赤ちゃんの写真を見せてくれた。
個人のLINEは別れた時に消してるよと見せようとしてくれたが香穂理はそこまではいいと断った。
「今は友人だ、恋愛の好きという感情はない、本当だよ」
香穂理は食べるのをやめて
「ごめんなさい」と廉に抱きついた。
「急に不安になっちゃって…少し前向きに廉さんとの事を考えようと思った矢先だったから……」
「うん、わかってくれて嬉しい…ていうか俺のせいじゃんな、俺こそごめん」
ううんと香穂理は頭を振って頬をスリスリとこすりつけた。
「あのさぁ…」
廉は香穂理を自分の前にひょいと抱き上げた。
「その抱きついてスリスリするの何なのさ、めっちゃ可愛いんだよ」
「わかんない…廉さんに引っ付くとやっちゃう…彰良にはしたことないよ」
「俺だって彰良って名前出たら拗ねるよ」
「あっ…そういう事なんだ」
「何が?」
「何も思ってないから名前を出しても平気なんだ、気持ちあったら隠したいかも」
「うーん、そうなのかな、とりあえず俺が酔ってる時は気にしないで欲しい」
「はい」
「香穂理ちゃん」
「何?」
「ちょっと俺から抱きしめてもいい?」
「いいよ、ハグしよ!」
しばらく2人は黙ってハグをしていた。



