〇前話と同じ
また引っ張られると今度は朝比奈君の腕の中に収まる。
心音(相変わらず、嫉妬の感情が流れてくる。でも詳細は分からない。そうだった。朝比奈君はなぜか嫉妬深いんだよね。恋人でも、……好きでもないのに。)
心音「……ずるいのは朝比奈君のほうでしょ?」※誰にも聞こえない声で
朝比奈「もっと一緒にいたいし、朝比奈さんの嬉しいこともしてあげたい。」
私は唇をかみしめる。この話を聞くのは、まるで拷問のようだ。
心音「ありがとう。ねえ、もう少しこのままでもいい?」
心音(朝比奈君のこの態度はこれから先、恋人が出来たときに余計に悲しくさせる意地悪かな?それでも私は溺れたい。たとえ恋愛感情ではなくても。)
朝比奈君の腕に頭を預ける。
朝比奈「ねえ、小鳥遊さん。好きな人っているの?」
心音(なんでこんなこと聞くんだろう。それであなたと言ったらどうするつもりなの?)
窓から風が入ってくる。梅雨が終わりかけで珍しく涼しい風が入ってくる。サイコメトリーは時と場合によって何も聞こえないときがある。それは今知りたいのにって時が多い。そして今も何も感じられない。
心音「……いるよ。最近ね。」
ぼやける視界をこぼさないように何とか答える。顔を見られてなくてよかった。
朝比奈「……そっか。叶うといいね。」
心音「……ね。」
こんなに距離は近いのに心は遠くて胸は痛い。
心音(ああ、やっぱり朝比奈君が好きなんだ。正直さっき好きな人がいるって言った時は実感してなかった。でもこの痛みはきっと恋なんだ。)
心音「じゃあ、帰ろうか。私、用事あるから先に帰るね。」
数分抱き合った後、顔を見ないようにしてスッと離れて歩き出す。
朝比奈「小鳥遊さん!
またね。」
朝比奈君の声に振り返らずに手を振る。
心音「うん。またね。」※聞こえるか分からない声で呟く。
〇学校、下駄箱、朝
みーちゃん「なんか日に日に疲れてるね。大丈夫?」
珍しくみーちゃんを気にする気持ちもわかず、ボーっと靴を履き替える。
心音「……いや、もう、これ以上注目を浴びたくない。……大体、……」※ブツブツと独り言を呟く。
和田先輩「あ!心音ちゃん。おはよう。」
心音(おう、私の悩みの元凶の一人目が来た。正直仲良くしたくない。でも。)
心音「おはようございます。和田先輩。」
和田先輩「ねえ、よかったらさ、今日の放課後遊ばない?」
心音(本当に人気者ってなんでこう注目を浴びたがるのか!!
と言いたいが抵抗する気力も今ない。)
心音「分かりました。ではこれが私の連絡先です。失礼します。」
速やかにみーちゃんの背中を押して撤退した。これ以上人が集まる前に。
〇学校、教室
みーちゃん「ねえ!心音、日に日にイケメンに好かれてない!?」
恋バナ好きなため乙女の目で聞いてくる。
心音「私は平和な生活を目指してるのに。」
まあ、サイコメトリーを持ってる以上無理という神様のお達しか?
みーちゃんは慰めるように背中をさすってくれた。
〇学校、下駄箱、放課後
みーちゃん「じゃあ、今日、先輩と遊ぶんだよね!また話待ってるね!」
みーちゃんと別れて正門へ向かう。
朝比奈「小鳥遊さん!」
心音「どうしたの?」
朝比奈「今日も一緒に帰らない?寄りたいところがあって。」
心音「……ごめんね。今日は用があって。」
なるべく目を合わせずに歩きだす。朝比奈君は何も言わなかった。
〇駅外、放課後
和田先輩「こっちだよ!心音ちゃん!」
学校からそのままの足で待ち合わせ場所まで向かった。
心音「こんにちは。それで何するんですか?」
和田先輩「特に行きたい場所はないけど、仲良くなりたいなって!」※先輩はポンっと肩に手を置く。
心音(この人は仲良くなりたいっていうけど友達多いよね?なんで私と?)
和田先輩「理由は簡単!君が俺と同じ超能力を持ってるってこと!そして君の話も聞きたい!」
また読まれてしまった。肩に手を置かれてたの忘れてた。※心音はすぐに払って手をどかす。
和田先輩「じゃあいこう!」
〇カフェ、放課後
最初は厄介だったけど学校の子も少ないから安心して話せた。和田先輩はさすが人気なだけあって話も面白かった。
心音「うーん。おいしい!」
ケーキを頬張っていると、和田先輩の手が伸びてくる。
和田先輩「口、ついてるよ。取ってあげるね。」
心音「ありがとうございます。」
やっぱり朝比奈君以外に触られてもドキドキしないな。
和田先輩「心音ちゃんは大変そう。こんなにいい子ならなおさら。」
心音「そう、ですかね?」※和田は信じられないという目で見ている。
心音「私より辛い人なんて世の中沢山いるし、私のほうが幸せだと思います。友達もいて、家族も優しくて。
もし、先輩がこの能力で困ってるならいつでも聞きます。」
手を握った
〇サイコメトリー中
過去、友達が少なくて悲しんでる映像が流れる。
〇現在に戻る
心音「それに、大丈夫とは部外者の私は言えないですが、私は先輩のこと知りたいです。辛いことも楽しいことも!それは同じ超能力者だからではなく、これから仲良くなるために!」
心音「!先輩!?」
突然ポロポロとこぼし始めた。
心音「ごめんなさい。何か嫌でしたか?!」
和田先輩「いや、心音ちゃんって本当に心がきれいなんだなって。」
心音「ありがとうございます?」
よくわからないが褒められてるみたいだからお礼をする。あ、分かった。私の心を読んだんだ。
和田先輩「本当にかわいい後輩だ!」※和田は涙が引っ込んで、心音の頭をポンポンと撫でる。
和田先輩「こんなに素直だったら超モテるよね!」
心音「いやー。そんなこともないですけど。それにみんなにモテるより、好きな人に好かれたいですね。」
和田「え、じゃあ、好きな人でもいるの?」※冗談ではなさそうな甘い視線。
心音「私は、……。」
また引っ張られると今度は朝比奈君の腕の中に収まる。
心音(相変わらず、嫉妬の感情が流れてくる。でも詳細は分からない。そうだった。朝比奈君はなぜか嫉妬深いんだよね。恋人でも、……好きでもないのに。)
心音「……ずるいのは朝比奈君のほうでしょ?」※誰にも聞こえない声で
朝比奈「もっと一緒にいたいし、朝比奈さんの嬉しいこともしてあげたい。」
私は唇をかみしめる。この話を聞くのは、まるで拷問のようだ。
心音「ありがとう。ねえ、もう少しこのままでもいい?」
心音(朝比奈君のこの態度はこれから先、恋人が出来たときに余計に悲しくさせる意地悪かな?それでも私は溺れたい。たとえ恋愛感情ではなくても。)
朝比奈君の腕に頭を預ける。
朝比奈「ねえ、小鳥遊さん。好きな人っているの?」
心音(なんでこんなこと聞くんだろう。それであなたと言ったらどうするつもりなの?)
窓から風が入ってくる。梅雨が終わりかけで珍しく涼しい風が入ってくる。サイコメトリーは時と場合によって何も聞こえないときがある。それは今知りたいのにって時が多い。そして今も何も感じられない。
心音「……いるよ。最近ね。」
ぼやける視界をこぼさないように何とか答える。顔を見られてなくてよかった。
朝比奈「……そっか。叶うといいね。」
心音「……ね。」
こんなに距離は近いのに心は遠くて胸は痛い。
心音(ああ、やっぱり朝比奈君が好きなんだ。正直さっき好きな人がいるって言った時は実感してなかった。でもこの痛みはきっと恋なんだ。)
心音「じゃあ、帰ろうか。私、用事あるから先に帰るね。」
数分抱き合った後、顔を見ないようにしてスッと離れて歩き出す。
朝比奈「小鳥遊さん!
またね。」
朝比奈君の声に振り返らずに手を振る。
心音「うん。またね。」※聞こえるか分からない声で呟く。
〇学校、下駄箱、朝
みーちゃん「なんか日に日に疲れてるね。大丈夫?」
珍しくみーちゃんを気にする気持ちもわかず、ボーっと靴を履き替える。
心音「……いや、もう、これ以上注目を浴びたくない。……大体、……」※ブツブツと独り言を呟く。
和田先輩「あ!心音ちゃん。おはよう。」
心音(おう、私の悩みの元凶の一人目が来た。正直仲良くしたくない。でも。)
心音「おはようございます。和田先輩。」
和田先輩「ねえ、よかったらさ、今日の放課後遊ばない?」
心音(本当に人気者ってなんでこう注目を浴びたがるのか!!
と言いたいが抵抗する気力も今ない。)
心音「分かりました。ではこれが私の連絡先です。失礼します。」
速やかにみーちゃんの背中を押して撤退した。これ以上人が集まる前に。
〇学校、教室
みーちゃん「ねえ!心音、日に日にイケメンに好かれてない!?」
恋バナ好きなため乙女の目で聞いてくる。
心音「私は平和な生活を目指してるのに。」
まあ、サイコメトリーを持ってる以上無理という神様のお達しか?
みーちゃんは慰めるように背中をさすってくれた。
〇学校、下駄箱、放課後
みーちゃん「じゃあ、今日、先輩と遊ぶんだよね!また話待ってるね!」
みーちゃんと別れて正門へ向かう。
朝比奈「小鳥遊さん!」
心音「どうしたの?」
朝比奈「今日も一緒に帰らない?寄りたいところがあって。」
心音「……ごめんね。今日は用があって。」
なるべく目を合わせずに歩きだす。朝比奈君は何も言わなかった。
〇駅外、放課後
和田先輩「こっちだよ!心音ちゃん!」
学校からそのままの足で待ち合わせ場所まで向かった。
心音「こんにちは。それで何するんですか?」
和田先輩「特に行きたい場所はないけど、仲良くなりたいなって!」※先輩はポンっと肩に手を置く。
心音(この人は仲良くなりたいっていうけど友達多いよね?なんで私と?)
和田先輩「理由は簡単!君が俺と同じ超能力を持ってるってこと!そして君の話も聞きたい!」
また読まれてしまった。肩に手を置かれてたの忘れてた。※心音はすぐに払って手をどかす。
和田先輩「じゃあいこう!」
〇カフェ、放課後
最初は厄介だったけど学校の子も少ないから安心して話せた。和田先輩はさすが人気なだけあって話も面白かった。
心音「うーん。おいしい!」
ケーキを頬張っていると、和田先輩の手が伸びてくる。
和田先輩「口、ついてるよ。取ってあげるね。」
心音「ありがとうございます。」
やっぱり朝比奈君以外に触られてもドキドキしないな。
和田先輩「心音ちゃんは大変そう。こんなにいい子ならなおさら。」
心音「そう、ですかね?」※和田は信じられないという目で見ている。
心音「私より辛い人なんて世の中沢山いるし、私のほうが幸せだと思います。友達もいて、家族も優しくて。
もし、先輩がこの能力で困ってるならいつでも聞きます。」
手を握った
〇サイコメトリー中
過去、友達が少なくて悲しんでる映像が流れる。
〇現在に戻る
心音「それに、大丈夫とは部外者の私は言えないですが、私は先輩のこと知りたいです。辛いことも楽しいことも!それは同じ超能力者だからではなく、これから仲良くなるために!」
心音「!先輩!?」
突然ポロポロとこぼし始めた。
心音「ごめんなさい。何か嫌でしたか?!」
和田先輩「いや、心音ちゃんって本当に心がきれいなんだなって。」
心音「ありがとうございます?」
よくわからないが褒められてるみたいだからお礼をする。あ、分かった。私の心を読んだんだ。
和田先輩「本当にかわいい後輩だ!」※和田は涙が引っ込んで、心音の頭をポンポンと撫でる。
和田先輩「こんなに素直だったら超モテるよね!」
心音「いやー。そんなこともないですけど。それにみんなにモテるより、好きな人に好かれたいですね。」
和田「え、じゃあ、好きな人でもいるの?」※冗談ではなさそうな甘い視線。
心音「私は、……。」

