〇心音の家、リビング
家に帰ってきた途端、ソファに横になり顔をうずめて何も喋らない。

ゆう兄「おーい。心音?大丈夫か?」
たまたま家に遊びに来てたゆう兄は心配している。
心音「……なんでいるの。」
ゆう兄「失礼だなー!お前の恋愛報告をおばさんにしてあげたんだろうー?」
心音「恋愛じゃない。」
ゆう兄「なんだー?あの子と何かトラブルが起きたか?」
心音「勘違いなんだって。あの笑顔も。全部。」
ゆう兄「……いやー。到底そうは見えなかったけどな。あんなに囲い込んでて。」※心音には聞こえてない

〇ゆう兄の回想
朝比奈がゆう兄を睨んでいる様子や、心音に気づかれないように周りの心音を見てくる男に睨みつけてる様子が映像で流れる。
〇現在に戻る
心音「何?」
ゆう兄「今度こそは遊びに行こうな!別にあの兄ちゃんが一緒でもいいぞ!」※サムズアップしている
心音「そう。」
『ピコ』
通知音に飛び起きると朝比奈君だ。思わずチャットの画面を開く。

朝比奈『今日はお疲れ様。楽しかったよ。
次回はどこに行こうか。また遊ぼうね。』

心音(なんて答えよう。)
心音『こちらこそ、今日はありがとう。
次回は遊園地とかどうかな?ゆう兄に頼んだら送ってくれると思うよ!それにゆう兄も朝比奈君と遊びたいって!』

送信するとすぐに既読が付く。
心音(待っててくれたのかな。)

朝比奈『分かった。楽しみにしてる。』

とりあえずひと段落ついた。

ゆう兄「なんだ。心音も好きなんだな!」
携帯から顔をあげるとゆう兄がニヤニヤしてる。
心音「え!?好き、なわけないじゃん!!」
ゆう兄「いや、でも心音、連絡してる時の顔見てないだろう?嬉しそうにニヤニヤしてたぞ?」
何言ってんの!とゆう兄を軽く叩く。

〇心音の家のお風呂
心音「はあ、疲れた。」
ボーっと愛華さんの言葉を思いだす。
心音(ただの友達にこんなに優しいから朝比奈君の好きな人はもっと愛されてるのかな。)
心音「……いいな。」
ハッとなって口を湯舟に沈めてブクブクと泡を立てる。

〇回想
ゆう兄「なんだ。心音も好きなんだな!」

〇現在に戻る
心音(まさか!好き。なんて。そんなの意識したことなかった。でもなんか腑に落ちたような。)
バシャッとお湯を顔にかけて湯舟から出る。

〇次の日の朝、心音の部屋
心音「眠い。」
心音(あれから朝比奈君のことが頭から離れなかったが何とか答えを出した。きっと私が関わってる人の中に好きな人がいるんだろう。と。あまり納得のいく答えではないが、もし、万が一に私が片思い相手でも、朝比奈君と出会ったのは最近。絶対違う。)
心音「はあ。学校行くか。」

〇学校、教室
みーちゃん「寝不足?」
心音「うん、そうなの。」
心音(ああ!みーちゃんは本当にかわいい。心配してくれるだけで癒される!)
みーちゃん「そっか。なら、このお菓子を贈呈しましょう!」
みーちゃんはグミを一袋渡してくれる。
心音「こんなにいいの!?」
みーちゃん「いえ?一粒ですが?」
心音「一粒かい!」
心音(みーちゃんからはこういう風に冗談交じりなのがありがたい。少し気持ちが落ち着いた。)
朝比奈「小鳥遊さん。」
今までは平気だったのに、ゆう兄の言葉が脳裏をよぎって心臓がうるさい。
クラスメイト「きゃー!」
クラスメイト「なんで小鳥遊さんのところに行くの?」
クラスメイト「朝比奈君の弱みでも握ってるんじゃない?」
朝比奈君のカッコよさに騒ぐ女子と、悪口を言う女子がいる。
朝比奈「小鳥遊さん。昨日はありがとう。次なんだけどさ、」
心音(ここでその話をする!?)※思わず朝比奈の口を手でふさぐ(一瞬だったためサイコメトリーは起きなかった)
心音「朝比奈君!少し向こうで話そうか!」

〇空き教室、朝
心音「ふう、ここなら。」
朝比奈「なんでここに来たの?」
安心してる私と反対で不満そうにしている朝比奈君。
心音「なんで、ってあなた、人気なの分かってる?!あんな場所で休日遊んでるなんてバレたら私はもう……!」
朝比奈「自慢したかったな。」
子供がいじけたような表情をしている。
心音「あのね!自慢の前に私の命がなくなるわ!ってか自慢って何?」
朝比奈「……俺の小鳥遊さんはこんなにいい子なんだよ。って」
朝比奈君は甘ったるい目線を向けて私の髪を撫でる。
心音「……いい子って何よ。そんなのまるで……!」
心音(『私のこと好きって意味じゃん!』)
朝比奈「まるで?何?」
心音(こんなに甘い顔してきてもし仮に私が恋に落ちたらどうしてくれるんだ!)
心音「何でもない。じゃあ、遊園地に行くのは、ゆう兄に予定聞いてから連絡する。だから人目のつくところでは話しかけてこないで!」
朝比奈「分かった。」
私は朝比奈君をおいて走って逃げた。

〇学校、廊下
心音「きゃ!」
?「わ!ごめんな!」
朝比奈君をおいて教室へ帰ろうとしてたらぶつかってしまった。
「す、すみません。」
顔を見ると少し見たことのある男の一個上の先輩だ。先輩が落としたものを拾った。
※茶髪で、ピアスが開いてて、高身長、イケメン。

〇サイコメトリー中
頼まれて教室から職員室まで届ける途中の映像が流れる。

〇現在に戻る
心音(意図せずまた読んでしまった。)
心音「ぶつかってすみません。職員室までお手伝いしましょうか?」
先輩はポカーンとしている。
先輩「あ、いや、大丈夫だ。ありがとう。」
心音「では、」
なんだろうあの間は?気にはなったが気にしないことにした。

先輩「……あの子もまさか。」