〇数日後、水族館行きの電車内
透「水族館って好き?」
心音「実は私あんまり来たことないんだよね。」
透「え、苦手?」※透は少し不安そうに聞く。
心音「逆!楽しみだよ!イルカショーを見たり!ペンギンを見たり!楽しみ!!」
透「そっか……!良かった。」※温かい目で見ている。
心音「夏休みって幸せだね!
   ……まあ、宿題が待ってるけどね……。」
現実を思い出し、はあっとため息をついた私の頭をポンポンと撫でる。
透「今度はさ、二人勉強会しよ。」
心音「神様だ!!確か透、君って勉強できたよね!やった!」
透「こんなに喜んでくれるならもっと勉強しなきゃ。」
心音「一緒に頑張ろうね!」
透「うん。じゃあ、まずは今日楽しもうね。」
心音「はーい!」
アナウンス「次は、ーー。ーー。」
透「ここだね。降りようか。」

〇水族館、イルカショー
透「もうすぐ始まるって。待ちくたびれてない?」
心音「全然!透、君といるだけで楽しい!」
透「ありがとう。でも一つ。少しだけ俺の名前呼ぶの緊張してるでしょ?」※心音は頬をかく。
心音「……してる。」
透「ごめんね。俺がお願いしたから。だから無理に呼ばなくても。」※途中で遮る。
心音「ちがうの!緊張はしてるけど、恥ずかしいだけで。……嬉しい、よ。」※最後のほうは声は小さめに
透「本当に可愛いな。」※透は心音の手を握る。

〇サイコメトリー中
透の黒い感情に包まれるが不思議と嫌ではない。

〇現在に戻る
透「心音。始まるよ。心音が嫌じゃないならこれからも呼ぶし呼んでもらうよ?」※心音は恥ずかしさのあまり軽く頷くことしかできない。

〇水族館、ペンギン
そんな話をしたのに、イルカショーを見たため気持ちが切り替わった心音。
心音「かわいい!!こっち見て!」
カメラを構えて何枚も撮っている。
透「あ、ごめんけどお手洗いに行ってもいい?」
心音「はーい!あ!かわいい!!」※ペンギンに夢中の心音に寂しそうな透

〇透がトイレに行ってすぐ
心音「きゃ!」
?「あ!すみません!」
二人で気づかずに下がりぶつかってしまった。しかも相手のカバンの中身が出てしまった。
心音「ごめんなさい!大丈夫ですか?手伝いますよ。」
?「あ、ありがとうございます。」※暗くて見えにくいが同い年くらいの女の子で美人系
拾っていると、

〇サイコメトリー中
なぜか透にそっくりな男の子に渡そうとしてる映像が流れる。

〇現在に戻る
心音「これ、って。」
?「あ!これは、ちょっと。」※暗くて見えにくいが照れている
なんでこんなに嫌な予感がするんだ。似てる人なんていそうなのに。透君としか見えない。
透「大丈夫?」
近づいてきたのは透君。今はまずい!そう思った瞬間。
?「え!透君!?」
透「……、幸田……さん?」
いつもどおり、冷たく接するかと思いきや、透君の目は泳いでいる。
幸田「そうだよ!久しぶり!ところでこの子は?」
透「……今の、彼女。」
あまり言いたくなさそうなのはどういう意図なのかな?
幸田「……へえ?よろしくね!」
差し伸ばされた手を恐る恐る握る。

サイコメトリー中
幸田『やっぱり透君には私しかいないよね!
   透君は私が大切で相田と絶交したのに、周りの目のせいで、離れ離れになったけど、また出会えたってことは、運命の人()よね!透君も覚えてるし、こんな女なら私が今度こそ恋人になるわ!』

〇現在に戻る
心音(この話って幸田さんはいいように言ってるけど、透君は今まで好きになったことはないって言ってたよね。それなのに、この人が大切だからって絶交するかな?もしかして失うのが怖いってこの人が原因では?しかも透君のこの反応。見たこともない。)
幸田「どうかしたの?ところでさ、透君!今日、一緒に遊ばない?その彼女さん一緒でもいいから!」
幸田さんが私と繋いでた手を解いて、透君に手を伸ばした瞬間。
幸田「いた!何よ!」
私は力いっぱい払った。そして、
心音「透君。今ここできちんと断って。私は、いるから。」
耳元でこそっと告げる。そこで透君はハッとなる。
透「いかない。この子が大切だから。それに散々、大切な相田と俺にひどい目にあわせて、俺の人生めちゃくちゃにして今更現れんな。お前なんか大っ嫌いだ。」
幸田「ひどい!」※止める間もなく透にビンタする
幸田「もう知らないから!」※幸田は去っていった
心音「ちょっと待ってて。」
私は急いでお手洗いに向かってハンカチを濡らして戻る。
心音「これで冷やして。ちょっと場所移動しようか。」
注目を集めすぎたため、暗い透君を引っ張って移動した。

〇水族館入り口
心音「少しは落ち着いた?」
透「さっき、あいつの心、読んだんだろ?」※少し鋭い目を見せる透
心音「うん。ごめんなさい。なんとなくは見た。」
透「いや。心音は悪くないよ。何にも説明しなかった。俺が悪い。
  ごめんけど、帰ろうか。」
心音「……分かった。」

〇駅
心音(結局一言も話さずに分かれ道まで来てしまった)
心音「じゃあ、私はこっちだから。」
透「待って。」※腕を引かれる。

透「俺の家に来ない?」