ライブが終わった日から2週間ほどが経とうとしていた。
 私はいつも通り生徒たちの相談や看病をしていた。


 「翠せんせーい!!出会い求めてませんか!?」


 保健室の扉を開けて唐突に話しかけてきたのは、同期のツキだ。
 莉深とツキの3人で中学からが仲が良く、私や莉深とは違って叶わない恋をしないタイプで推しはいない。
 本人いわく、「推しを作ると全財産注ぎ込んで結婚できなくなる」だからだそうだ。


 「ツキ、何回も言うけど、私はまだ彼氏はいらないの。」

 「えぇぇー」

 「この間もそう言ったのに忘れてたの?」

 「いや、忘れてはいないんだけど、私の彼氏の友達がずっと彼女いなくてそばでその人を支えてくれる人を探してるんだって。で、翠かわいいし、フリーだからどうかなと思って。」

 「なるほどね。でもなぁー」

 「そこをなんとかお願いしますっ!!!!」


 ツキは一回決めるとなかなか折れてくれない。


 「あぁぁーもう!わかったよ!!でも会うだけだからね⁉︎そこからあとは知らないからね⁉︎」

 「ほんと!?もうーすい!本当にありがとう!!早速彼に伝えてくるね‼︎また日にちとか決まったら連絡するね〜」

 「はーい!じゃーねー」


 私はまだ知らなかったこんな奇跡を繰り返すとは…