鋭いフロントライトの車。スポーツタイプのその車は、ノーマルマフラーでもいい音だ。

 ブォンッ。少し回転数を上げながらシフトダウンする音が聞こえる。

 来た。彼氏の時もこの瞬間がカッコよくで好きだった。

 リアの扉を開けて乗り込む。

「ありがと〜!」

横には半べその息子。下唇を少しだして、今にも泣きそうだ。かわいい。

夫にはドーナツをわたした。

「おっ!やった!ドーナツ!夜食べよ〜!」

サイボーグな表情をほんの少しだけゆるめて喜んでくれた。ギャップだ。