あのころの私に見せたい今

 新幹線の駅で、地元には無いドーナツ屋さんを見つけて6個入りを買った。食べる人はわたしと夫しかいないのに、夫が好きだからと6個も入ったやつ。

 新幹線は空いていた。大事なドーナツは、人が乗ってくるまでは隣の席に置かせてもらった。

 最寄りの駅に着いて、大事なドーナツを抱える。大事に持って階段を下る。改札を超えて南口へ出る。

 夫に迎えを頼んであるから、お迎えの車ゾーンへ向かう。まだ来ていないようだった。

 車から見えやすそうなところに移動して、ベンチに腰掛けた。

 ロータリーを眺めていると、あ、見えた。夫の車だ。