君の雪は解けない


「だーかーらっ、一生のお願い!得しかないし!」

「丁重にお断りするね」


「何故だ。全国から憧れの的だぞ?」

「でも、暴走族?に憧れるのって⋯⋯色々、心配」


「は?うるせぇよ」


微かに眉を(ひそ)める、白蓮という組織のトップらしい人間。

それが、転校初日に失礼な態度を取ってきていた二ノ宮(にのみや) 伊吹(いぶき)だということには、眞雪もずいぶん驚いた。


こんな人がトップなんて、という考えに至ったことはどうか、秘密にしていてほしいが。



この2週間ほど、この白蓮の情報を延々と詰め込まれてきた。

全国一位で強い⋯⋯だとか、白蓮は正統派の⋯⋯だとか、それはもう沢山だ。


幹部の名前も、その一つだった。

覚えろ、と毎日連呼されていたので、流石に脳が記憶してしまったのだ。



二ノ宮(にのみや) 伊吹(いぶき)

八百坂(やおさか) 若那(わかな)

花名森(はなもり) (れん)

天堂(てんどう) 明日真(あすま)

桃野(ももの) 萌依(めい)