君の雪は解けない

とにかく、今の眞雪にはやるべきことが多すぎる。


「⋯伊吹。軌然会は強い。君たちとは違って姑息な手段も難なく使う。気を付けてね」


白蓮に情でも移ったのか。

柄にもなく優しい忠告をした眞雪は、
伊吹の返事を待つことなく自身の携帯を取り出して、何者かに電話をかけ始めた。

もう話しかけるなと言わんばかりのその態度には、
もう伊吹たちだって慣れている。


「——今すぐ下っ端を全員呼べ」


厳しい戦いになる。

伊吹は、ぎゅっと眉を寄せ、近い未来に思いを馳せたのだった。