君の雪は解けない

だが、相手の総長は怯むことなく、戦闘中のミフユを指差して言った。

『白蓮の裏切り者さんは演技が上手いなァ』

もちろん白蓮はすぐに否定した。
ミフユも否定した。

が、相手は嘘をついている様子はなく、至って余裕の表情。
半信半疑でミフユを見れば、誰が見ても明らかなほどに狼狽している。

本当に裏切ったのかもしれない。

確かにその状況は、信心深い眞雪すらも疑ってしまいそうなほど、
相手の言うことの辻褄が合ってしまっていた。


そしてミフユは追放された。


もちろん白蓮の手によって、彼らの思う存分虐められた後に。

これについては、眞雪も彼らに同感だった。

組織から離れる人間には内情の口止めと、
そのための強い恐怖が必要だと、理解していたからだ。