君の雪は解けない

眞雪がその問いをしたこと自体が、
彼らにとっては予想外だったのかもしれない。

少し考えれば、誰でも分かる。

目の前で話をすれば、聞かれることは必然。逃れられようのないことだ。


だが、彼らは驚いた様子を見せた。

それすらも思い至らないくらいに狼狽えていたのか、
はたまた眞雪がそれについて問うということは考えられなかったのか。

伊吹はしばらくの間迷うようにうろうろと彷徨わせた後、眞雪と正面から視線を交えた。


「裏切り者だ」

「⋯⋯⋯裏切り者?」

「そうだ」


もうその瞳には、寸分の迷いもない。

気付けば若那らも落ち着きを取り戻し、同じように眞雪を見据えていた。


「それは、僕が聞いてもいいもの?」