君の雪は解けない

伊吹の態度は依然、毅然としたものだった。
が、他の幹部らは八百坂と同じように狼狽し、その瞳には困惑の色が浮かぶ。

(これは⋯⋯僕が聞いていいものなのかな)

彼らの様子からすると、白蓮の過去に何かあったのは明白。

仲間という形と言えど、所詮は‟仮”。
無闇に彼らの心の傷を抉るようなことは、言うべきでないのかもしれない。

——けれど。
(何故か、聞かなければいけない気がしている)

眞雪は何かを確かめるように慎重に、一言一言を紡いでいった。


「その人は、誰?」

「!」


最適な言葉が見つからず、当たり障りのない問いになってしまう。

が、白蓮は構わず瞠目した。