君の雪は解けない





それはある日のこと。

特に会議があるわけでもないというのに、
その日は珍しく、眞雪を含めた幹部全員が揃っていた。

かと言ってみんなで楽しくお喋り、なんてこともなく、
騒がしい人も居れば、端で携帯と睨めっこしている人もいる状態。


「⋯⋯⋯ぇ」


副総長から、思わず漏れたかのような声が鳴った。

普段冷静で動揺することの方が稀有な八百坂のその様子に、
騒がしかった人も、携帯と睨めっこしていた人も、全員が一点を見つめる。


「若那?どうした?」

「⋯⋯⋯」


固まったまま動かない八百坂。
その顔を覗き込む伊吹だったが、それも聞こえていないよう。