君の雪は解けない

次期の総長だ、と伊吹に言われたけれど、眞雪にしてみれば知ったことではなかった。

⋯⋯それにしても。
(まあ、暴走族の人間より強いのは、当たり前かな)

裏社会の人間から見れば、
暴走族というのは裏にも表にも染まり切れない中途半端、というイメージだ。

こんな平和ボケした人間より弱いなんて、あってはならない。


「ふふ、それほどでもないよ」

『楽しそうだな』

「そうかもね」


彼が当たり障りのない生返事をした後、
伊吹は不愛想に「ありがとう」とお礼を言う。

本当に思っているか分からないくらいのその温度感に、眞雪は思わず笑ってしまったのだった。