君の雪は解けない







『⋯⋯は?そんなことが?』


伊吹の声が電話越しに聞こえてきたのは、倉庫に落ちた血を片づけきった後のこと。

微量の困惑を含んだ声が、
スピーカー機能により辺りに響き渡る。


「本当、伊吹いないからどうしようかと思ったよ」

『⋯⋯でも余裕だったんだろ?』

「まさか。そんなわけないでしょ」

真伊(まい)が言ってたぞ。‟自分たちだけでは危なかったけど、眞雪さんが最強だったので”ってな』


話を聞いていると、
真伊というのはあの赤髪の下っ端のことらしい。