♢ 『⋯⋯は?そんなことが?』 伊吹の声が電話越しに聞こえてきたのは、倉庫に落ちた血を片づけきった後のこと。 微量の困惑を含んだ声が、 スピーカー機能により辺りに響き渡る。 「本当、伊吹いないからどうしようかと思ったよ」 『⋯⋯でも余裕だったんだろ?』 「まさか。そんなわけないでしょ」 『真伊(まい)が言ってたぞ。‟自分たちだけでは危なかったけど、眞雪さんが最強だったので”ってな』 話を聞いていると、 真伊というのはあの赤髪の下っ端のことらしい。