君の雪は解けない

「いいよ」


いつも通りに微笑んで見せると、たちまち表情が明るくなる。

(この族は皆こういう人しか居ないのかな)

伊吹らの顔を思い浮かべる。純粋すぎる。
下っ端の顔を見つめる。純粋すぎる。

もしやすると、下っ端は幹部に似る、なんて言い伝えがあったりしないだろうか。


「あ、ありがとうございます!こ、こここちら!です!」

「ありがとう」


下っ端はずっと緊張したような話し方をしている。

もしかして、自分が悪い?なんてことも思い浮かんだが、
眞雪は何も言わず後をついて行った。


——一階に降りると、大量の下っ端たちが待ち構えていた。眞雪を。

その目がすべて此方を向く光景は、少々恐ろしい。


「あ、ま、眞雪さん⋯⋯!ささ、お座り、ください!」


一人の下っ端が指を差したその先は、ステージの上。