君の雪は解けない







「ねえ、有瀬」


正直に言おう。暇だ。

白蓮の倉庫に居るのだが、
幹部は全員用事で、眞雪は一人で過ごしているしかなかったのだ。

仕方なく、眞雪は携帯を耳に当ててその人物と話している。


『今、白蓮とやらの巣窟に居るんでしょ?俺と通話してていいの』

「良いよ。今は誰も居ないからね」

『それで、何か報告はないの。仕事中だよ俺』

「はは、禁断の逢瀬してるんだ?」

『茶化さない。そういえば、今度眞雪に紹介したい人がいるのだけど』

「最近よく聞くあの子?モモ、⋯⋯だったかな」


組員に噂が回るのは早い。

どこに行こうとその‟お気に入り”のことが耳に入るため、
眞雪も無知では居られなかったのだ。