君の雪は解けない






指定された席に座ると、嫌でも周りの人間が目に入る。


なんと残念なことに全員派手な部類。

容姿が美しい故か自信に溢れているその面差しは、眞雪の溜息をさらに誘発した。

(⋯僕の苦手なタイプ)

されども、ここで上手くやっていかない選択肢はない。


眞雪が今まさに、声をかけよう——とそのとき、


「おい、(おおとり) 眞雪(まゆき)


初対面だというのに、異様に愛想のない声が後ろからかけられる。

(しかも呼び捨て、ね)

馴れ馴れしいな、と眞雪は内心毒吐きながら振り返った。