* ・ 指定された席に座ると、嫌でも周りの人間が目に入る。 なんと残念なことに全員派手な部類。 容姿が美しい故か自信に溢れているその面差しは、眞雪の溜息をさらに誘発した。 (⋯僕の苦手なタイプ) されども、ここで上手くやっていかない選択肢はない。 眞雪が今まさに、声をかけよう——とそのとき、 「おい、鳳(おおとり) 眞雪(まゆき)」 初対面だというのに、異様に愛想のない声が後ろからかけられる。 (しかも呼び捨て、ね) 馴れ馴れしいな、と眞雪は内心毒吐きながら振り返った。