[伊吹Side]
♢
あまりにも突然だった。
「鳳 眞雪です」
それはまるで秋にやってきた嵐のよう。
最初は顔すら見る気も起きなかった。
どうせ白蓮を聞きつけてやって来た人間なのだろう、と高を括っていた。
——だが。
最初の印象は、静かにさざめく波のように凪いで、それでいて澄んだ声。
癖が強い、というわけでは無いが、妙に印象に残る声だった。
ほんの少し興味を惹かれ、窓側にやっていた視線をふと黒板の方へと投げやる。
「⋯⋯!」
その瞬間、ごく、と自分の喉仏が上下するのが分かった。
美しい。
伊吹の頭をその3文字ばかりが埋め尽くす。
一瞬の時が何秒にも感じられ、ふと仲間の方を見やると伊吹と同じように呆気に取られていた。
♢
あまりにも突然だった。
「鳳 眞雪です」
それはまるで秋にやってきた嵐のよう。
最初は顔すら見る気も起きなかった。
どうせ白蓮を聞きつけてやって来た人間なのだろう、と高を括っていた。
——だが。
最初の印象は、静かにさざめく波のように凪いで、それでいて澄んだ声。
癖が強い、というわけでは無いが、妙に印象に残る声だった。
ほんの少し興味を惹かれ、窓側にやっていた視線をふと黒板の方へと投げやる。
「⋯⋯!」
その瞬間、ごく、と自分の喉仏が上下するのが分かった。
美しい。
伊吹の頭をその3文字ばかりが埋め尽くす。
一瞬の時が何秒にも感じられ、ふと仲間の方を見やると伊吹と同じように呆気に取られていた。

