君の雪は解けない

第二章

✧香りに酔う

♢



眞雪が白蓮に仮加入してから2週間と経たない時。


その日、伊吹はいつにも増して神妙な面持ちで、眞雪を見た。

なにか真面目な話でもあるのだろうか、と珍しく真剣な色が宿る双眸を見て思う。


「⋯眞雪」


言いにくそうに口を開く。

そして、瞳をわずかに彷徨わせたあと、彼は言った。



「どうして、眞雪はそれほど強い？想定以上だ」



眞雪はその唐突な質問に目を点にさせる。

確かに一週間ほど前に伊吹とも力比べをしたし、
多少の手加減があるとはいえある程度の力量は分かるだろう。