桜井に同意を求めるように首を傾げると、
彼女は素直に頷いた。
「萌依ちゃん、でいい?呼び方」
「はい。じゃあ、私も⋯⋯眞雪くん?」
「うん」
「⋯⋯なんで、仲良くなってるんだよ」
あまり話してなかったから大丈夫だと思ったのに⋯!と、
自分の手を見つめてわなわなと震える伊吹は、やはり香賀を溺愛している様子。
見ると張本人は苦笑している。
「もー、いぶくん、めいちゃん困ってる!」
花名森の一言を皮切りに、全員が騒ぎ出す。
(⋯⋯なにこれ)
すごく、平和だ。
自分の居るべき本来の世界とは、まるで違う。
常に張りつめたような空気感がないし、上下関係だってよっぽどない。
今後は自分もこの世界に適応される日がくるのかな、と眞雪は微かに口角をあげ、白蓮の話に混ざった。

