君の雪は解けない







「——で。こんな好待遇で本当に良いの?」



まだ仮なのに、と言いたい言葉は飲み込んだ。


⋯ここはどうやら‟幹部室”という場所らしい。

周囲の雰囲気に似合わず、
ドアにポップなプレートがかけられていたのですぐに分かった。

一階の豪華な階段を上った先にあった部屋で、これまた煌びやかな装飾がされている。

先代の名前なんかが書いてあるのもそうだが、
黒く艶めくソファーが一つの長机を取り囲んでいて妙に重圧感があった。


「良いんだよ、我らが総長が決めたんだから」

「⋯⋯眞雪くん、まさか力比べしたい、なんてやめてよ!?怖いじゃん」

「なぜ怖いの?君たち相当強いんでしょ」