君の雪は解けない







「人、殺したことあるだろ!⋯⋯なんて言われても」


昨日ターゲットに言われた言葉を脳内で反芻(はんすう)する。

もしそうだと言えば、なんなのか?
(⋯⋯あの人、おれに殺してほしかったのかなぁ)

だったら悪いことをしたな、と少し反省する。


⋯まあでも、若を狙う輩に成り下がった方が悪い。仕方のないことだ。


「ゆっきーっ!」


いきなり後ろを振り向いた天堂が機嫌よく呼びかけてくる。

慣れないあだ名に顔を顰めるも、今はそこではない。

(⋯⋯さっきの、聞かれた?)
先程の呟きが聞かれていたのならかなり厄介だ。

もし気になって質問でもしようものなら、
それは眞雪の全てを話さなければいけないようなものだから。

もしそうなったら、なんて考えるだけでも億劫だ。