君の雪は解けない







「本当、せっかくのプライベートな時間だったのに」


まだ日は昇っている時間帯だが、
路地裏という環境のせいでずいぶんと仄暗い。

眞雪の20人ほど、という予想は見事に当たっていた。

大量の気絶した人間たちを積み重ね、眞雪はその上に堂々と座る。


「く、くそ⋯⋯っ冷泉(れいぜい)の犬が⋯!」

「その‟犬”に負けているのを、恥と思ってくださいね」


まだ僅かに意識があったのか、一番上に倒れる男が憎々し気に言う。

冷泉、というのは若の苗字である。


が、眞雪はそれをものともせず、微笑むばかり。