君の雪は解けない


その言葉を聞き終えて、通話を終わる。

白蓮が次の眞雪の一言を待っているのが、手に取るように分かった。


「用事できたから、早退するね。倉庫の件はまた後日」


矢継ぎ早に言ったそれに、白蓮はおずおずと頷く。

それを見届けてから眞雪は席を立った。と、案の定先生から声がかかる。


「鳳、早退するのか?体調でも悪いのか」

「あー⋯少し、外せない用が入ってしまいまして。申し訳ないです」


軽く頭をさげると、先生は納得したように頷き、眞雪の帰りを促した。

(もし遅れて仕留めそこなえば、有瀬に怒られる。急ごう)


過去にされた長い長い説教を思い出しながら、眞雪は身震いをした。