君の雪は解けない


そうだ、と深く頷いた伊吹に、眞雪は顔を顰めた。

眞雪は人が大勢いる場所は好まないのだ。

(けれど、)

たとえ仮という形だとしても、仲間になると言ってしまったのだから、
そこに行かない選択肢はないだろう。


「仕方ないな、分かっ——」


たよ。

言おうとしたその二音は、着信音によって遮られた。


「⋯なに?」


すぐさま、ピ、と音を立てて受信すると白蓮の視線がこちらに集まる。

少し居心地の悪さを感じたが、この場合は致し方ない。


電話の相手は有瀬だった。


『眞雪、悪いけど仕事だよ』

「⋯⋯僕、今学校なんだけど」

『はは、ごめん。でも若を狙ってる奴が君の学校付近でうろついてるみたいでね。好都合かなって』

「それを始末しろということ?」

『当たり前でしょ、君の仕事はそれなんだから』