君の雪は解けない







 きっと、何日も人間が大勢いる場所に身を置いた所為(せい)


 だから感覚が可笑(おか)しくなってしまった。

 だから、自分もこの世界の一部になれているのかも、なんて幻想を抱いてしまった。


 だから、———するはずのない返事を、してしまった。



「眞雪くん、白蓮に入ってください!一生の、お願い!」


もうすっかり聞きなれてしまったいつも通りの言葉。

むり、と眞雪は今日も同じ返事を返す⋯⋯つもりだった。


そのとき、ふと視線を上げたのがきっと間違いだ。

(⋯⋯あれ。みんな、真剣な目)

そう。
眞雪にとっては最早(もはや)日常会話で、意味のないやり取りと化していたものが、