君の雪は解けない


最近組織の中で有名になっている話を振れば、
男はふ、と笑った。

珍しくその気になったんだ、と言い笑むが、真実を知っている眞雪は眉を顰める。


「⋯⋯よく言うよ。若と‟仲が良い”くせにね」

「ふふ、君こそ禁断も禁断じゃないか。——まあお互い、頑張ろうよ」


禁断、などどの口が言えたことか。

にっこりと音がしそうなほど奇麗に笑った男は、眞雪とは旧知の仲。


仕事仲間、というのも間違ってはいない。


「ほら、眞雪。仕事だよ」


詳細が書いてあるであろう紙を渡される。


「——了解」


二人はお互いの顔を見合わせ、薄く微笑んだのだった。