君の雪は解けない

———

—————

————————



「眞雪、初めての学校生活はどう?」

「⋯⋯有瀬(ありせ)


もう今日の仕事もひと段落、というとき。

暗闇の中から掛けられた声の主は、
壁に寄りかかってこちらに微笑みかけている。

有瀬、というのがその男の名前だった。


「はは、最悪だよ。ここの何倍も居心地が悪い」

「君のことだから、そんなことだろうと思ったよ」


こつこつ、と黒々と艶めいた靴の音を響かせて、男は眞雪に近づく。


「⋯そういえば、最近女性を飼っていると聞いたよ。珍しいね?」