君の雪は解けない

美形、だった。

美形の友人は美形という方程式でもあるのかと思うほど、眞雪も有瀬も麗しかったのだ。

眞雪はこの絶妙な空気の中、
まっすぐに有瀬の方へと向かい、その肩にぽんと手を置く。


「⋯⋯有瀬。帰ろうか」


どこか呆れたような色も感じる声音だった。

けれど反対に、有瀬はにっと口端を上げて、彼に微笑む。


「ちゃんと、話せた?」

「⋯⋯まあ、ね」


きっと過去のことを言っているのだろう、と容易に察しがついた。

楽しそうな様子の有瀬と、どこか苦々し気な眞雪。

普段、白蓮で見るときの眞雪は穏やかで優しいのが常で、
これほどバツの悪そうな表情はしなかった。

(私たち、どんどんお互いを知っていくね)

この調子だと、彼が白蓮に正式加入する日は、そう遠くない。


———そう、このときは思っていた。