君の雪は解けない


余裕綽々(よゆうしゃくしゃく)で失礼な発言をする伊吹だったが、
その美しさは相変わらず健在だ。


はは、と眞雪は乾いた笑みを漏らす。

(のち)、ぐい、と急に伊吹に顔を近づけた。



「二ノ宮も、舐めてみる?案外美味しいよ」



唇をとん、と触るも、伊吹は「馬鹿にするな」と強気な態度。

⋯だが、その声は若干震えている。


——と、そこに、


「あのっ、伊吹くんは⋯⋯わ、私の彼氏、なので!!」


突然割り込んできたその上擦った高い声。

あーそういえば、と天を仰ぐと、最近の記憶が急に蘇ってくる。


⋯⋯確かに、伊吹は彼女——萌依(めい)を自身の恋人だと紹介していた気もする。

(でも、)