君の雪は解けない

[萌依Side]






「正真正銘、僕が、黎月会 若頭付きのボディガードだよ」


黙っていてごめんね、と微笑む美青年。
学校でも頻繁に話題に上がる、鳳 眞雪——その人だった。

麗しい美丈夫の、驚愕の告白。

彼の柔和で人好きのする笑みは、裏社会との繋がりなど全く感じさせない。

普通は腰を抜かすだろうが、
萌依ら白蓮は、存外冷静に現実を受け止めていた。


「その、⋯⋯詳細に聞いても、いいか」


ちらちらと横目で彼の表情を窺っているのは、萌依と恋仲にある男だ。

普段が堂々とした物言いなだけに、
歯切れが悪いのが珍しい。


「もちろん。何が聞きたい?」

「⋯⋯眞雪が話せる限り」

「あはは」


りょうかい、と彼はまた微笑む。

その玲瓏たる笑顔はどこか気が抜けるようで、
やっぱり、力で物事をねじ伏せるようなヤクザとは結びつかない。


「まあそんなに話すことは多くないんだけどね。まず——」