君の雪は解けない

ああもう、ほら。

思った通りの反応に眞雪は頭を抱える。

(若を狙った輩は、だし、そもそも全員は(・・・)殺していない!)

目を点にさせる白蓮を放って元凶の有瀬に悪態を吐きたくなるが、
してやったりの顔で視界から消えていく彼には、どうすることもできなかった。


「⋯ええと、まず。殺してはいないから」

「護衛だって言うのは、本当か?」

「⋯⋯⋯まあ、そうだと言うことになるのかな」

「じゃあ、まゆくんがバカみたいに強いのも納得か⋯⋯」


殺してはいない、と。
それは半分は嘘で、半分は本当のことだ。

流石に、殺した経験がある——なんてことは、表の世界の人間には重い話。


「もう⋯⋯正直に言うよ」


ここまで知られてもなお、
隠し続けるのは、眞雪としても往生際が悪い。

彼は半ば自棄になって、彼らを正面から見据えたのだった。